大判例

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東京高等裁判所 昭和58年(行ケ)257号 判決

一 請求の原因一、二の事実は、当事者間に争いがない。

二 そこで、原告が主張する審決取消事由の存否について検討する。

成立に争いのない甲第二号証の一・二、乙第五号証・第六号証の各一ないし四、第一〇号証の一ないし三と弁論の全趣旨によれば、別紙その二のとおりの構成からなる引用登録商標からは、文字全体を捉え、一連に称呼して「ラベル」の称呼を生ずるとともに、外観上一字程度の間隔をあけて書された前半の「LA」の部分は、フランス語を理解するものにとつては定冠詞を表わすものとして、一般的にも少なくとも外国語の文法的構成上それに類する限定詞の部類として容易に理解されるものであるし、冠詞を欠く現代日本語との文法的構成上の対応関係からも、この商標に接する取引者、需要者は、それ自体識別標識としての機能を備えない「LA」の部分に対して、識別標識として顕著な部分が後半の「BELLE」の文字にあるものと把握して「ベル」と称呼して取引にあたることも決して少なくないものと認められる。

原告は、冠詞と名詞と一体として発音されるフランス語の習性、また、それに伴う熟語的「美女」、「美人」の観念との不可分一体性をいうが、わが国におけるフランス語の普及度からみて俄かに採用できないところである。そして、右認定に反する証拠は存しない。

これに対し、別紙その一のとおりの構成からなる本願商標から「ベル」の称呼を生ずることは当事者間に争いがない。したがつて、その余の判断に及ぶまでもなく、「ベル」の称呼を共通する点において本願商標と引用登録商標とは類似するものというべきであつて、同旨に出た審決の称呼の認定、類否判断に何ら誤りはない。また、本願商標の指定商品が引用登録商標の指定商品に含まれることはいうまでもない。

そうすると、本願商標が商標法第四条第一項第一一号に該当し、登録することはできないものとした審決には、原告主張のような違法の点はないというべきである。

〔編註その一〕 特許庁における手続の経緯は左のとおりである。

原告は、別紙その一に示すとおりの構成よりなる商標につき、第三一類「ミルク。その他の酪農製品。食用油脂。砂糖。糖蜜。塩。からし。こしよう。酢。ソース。スパイス。その他本類に属する商品」を指定商品として、昭和四五年五月二日に商標登録出願をした(昭和四五年商標登録願第四四五四八号、以下「本願商標」という。が、その後指定商品については、昭和五四年一一月一五日付の手続補正書をもつて「ミルク。その他の乳製品。食用油脂。砂糖。糖蜜。塩。からし。こしよう。酢。ソース。スパイス。その他本類に属する商品」に補正され、さらに昭和五七年八月五日付の手続補正書をもつて「調味料、香辛料、食料油脂、乳製品、(但し、しようゆ、食酢、ウースターソース、ケチヤツプ、マヨネーズソース、ドレツシング、酢の素、ホワイトソース及びその類似商品を除く。)」に補正されたものである。

右出願に対し昭和五六年一月一九日、「LA BELLE」の欧文字を書してなり、第三一類「調味料、香辛料、食用油脂、乳製品」を指定商品として昭和四〇年一一月四日登録出願、同四二年一二月一一日に登録され、その後、昭和五三年四月六日に商標権存続期間の更新の登録がなされた登録第七六四〇八一号商標(以下「引用登録商標」という。)を引用し、本願商標は引用登録商標と類似する商標であつて、その登録に係る指定商品と同一または類似の商品に使用するものであるから商標法第四条第一項第一一号に該当し、同法第一五条第一号の規定に基づき拒絶すべきものとするとした拒絶査定があつた。

原告は、右拒絶査定に対し、昭和五六年六月五日付で審判を請求し、昭和五六年審判第一一四三五号事件として審理されたが、昭和五八年六月二七日、「本件審判の請求は成り立たない。」との審決があり、右審決の謄本は昭和五八年八月二二日に原告に送達された。

〔編註その二〕本件に関する別紙は左のとおりである。

別紙その一

本願商標

<省略>

別紙その二

引用登録商標

<省略>

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